厚生局の個別指導、監査

保険医療機関等(医科、歯科、薬局、柔整)への指導監査の情報提供をします。

整骨院、薬局の個別指導について

整骨院接骨院の個別指導(柔道整復師)、そして、薬局の個別指導(薬剤師)についてご説明を致します。

 

1 整骨院接骨院の個別指導について

柔道整復師に対する整骨院の個別指導は、厚生局が医師や歯科医(保険医療機関)に対して行う個別指導と類似の仕組みであり、厚生局が行います。基本的に同様の運用がなされており、指導に臨むにあっては、同様の留意点が当てはまります。ただし、整骨院接骨院の場合は、いわゆる高点数によるものはなく、基本的に情報提供による個別指導となりますので、個別指導となった場合の監査に至る確率は統計的に高くなり、そこで、より十分な準備が求められます。感覚的には、柔道整復師の場合、厚生局の監査に至ってしまうと、受領委任の取扱いの中止となることが見込まれると考えるべき状況と思われます。

 

柔整師への指導監査の留意点については、整骨院、接骨院の個別指導と監査(柔道整復師)のコラムが参考になります。

 

整骨院接骨院への個別指導の特有の留意点としては、医科・歯科と違い、受領委任の取扱いという特殊な規程に基づき療養費の支給が行われ、すなわち、施術費用の支給がなされており、そのため、療養担当規則などに基づく医歯薬とは規定の根本が異っている、ということです。厚生局の個別指導の運用は類似していますが、規定の根本が異なっていることから、種々の柔整師固有の問題が生まれている、ということです(この点、あはき(あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師)の指導監査については、同様の受領委任の取扱いに基づくものであるため、柔整と扱いがより近いと思われます。あはきの個別指導については、あはきの個別指導(あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師)のコラムが参考になります。)。

 

例えば、療養費の支給申請書への患者の署名が挙げられます。療養費支給申請書への署名は、月初でも差し支えありませんが、患者に十分に説明し、理解を得ることが求められます。また、可能であれば、白紙ではなく埋められる個所は埋めてから署名を受けることが望ましい、と指導されます。

 

また、個別指導では、患者が年少者であるなどして本人が記入できない場合、署名はどのようにしていますか、などと尋ねられます。これについては、保護者に記載してもらうことは認められておらず、柔道整復師が代理記入し、患者から捺印を受ける必要があると指導されます。なお、本人が記入できるのに代理記入等はしてはいけません。

 

さらに、初検時相談支援料に関する指導で、受領委任の取扱いについて、患者に対し、きちんと説明しているかについても、よく確認されます。個別指導の場で、実演が求められることもあります。受領委任の取扱いとは、療養費は、本来、患者が費用の全額を支払った後、患者が自ら保険者へ請求を行い、支給を受けることが原則ですが、柔道整復については、例外的な取扱いとして、患者が一部負担分を柔道整復師に支払い、柔道整復師が残りの費用を患者に代わって保険者に請求する制度のことです。正しく説明できると、印象が良いでしょう。

 

2 薬局、薬剤師の個別指導について

薬剤師に対する薬局の個別指導も、医院(医師)、歯科医院(歯科医)や整骨院柔道整復師)の場合と同様、厚生局が行います。厚生局から指導の実施の通知があり、カルテが指定され、個別指導が始まります。留意点についても同様です。

 

薬局、薬剤師への個別指導の留意点については、個別指導と監査(薬局、薬剤師)のコラムが参考になります。

 

なお、個別指導当日は、適切な服装で、案内状で指示されている時刻までに参上することが重要です。

前日の準備で睡眠不足となり出発に手間取り、また、会場まで車を利用する場合は渋滞に巻き込まれ、定刻に遅れてしまう方がいらっしゃいます。厚生局側もある程度、待ってくれますが、印象が悪く、遅れた場合は指導の中断とされる恐れも高くなりますので、遅刻のないように、早めに到着し、近くで待機していることをお勧めします。

 

また、個別指導の際に、指導を受けた内容を自ら確認・勉強するため、ICレコーダーでやり取りを録音することは、認められています(薬局の個別指導だけではなく、医科、歯科や整骨院の個別指導においても認められてます)。ICレコーダーで録音すると、厚生局側も対抗的に録音を開始し、また、厚生局側の印象の悪化を気になさる方もいらっしゃいます。しかし、強圧的な言辞が減る効果が期待でき、積極的に検討してよいだろうと考えています。